水中での呼吸
水中での呼吸
水中では努力が必要
水中では呼吸が制限される
陸上で生活しているときには、私たちは呼吸によってほとんど意識をしていません。
しかし、いったん、水中に入れば、空気がなく酸素を取り込むことが出来ないので、否応無しに自分の呼吸の重要性に気づくことになります。
水中では、短い時間であれば呼吸を止めることによって動き回ることができる(スキンダイビング)。
もう少し長く動き回るためには高圧空気の入ったタンクを使って呼吸を確保することが必要です
(スキューバダイビング)。
タンクなどを持たないで息こらえをしながら潜水している場合には、心拍数の低下(徐脈)、骨格筋や内臓の血管収縮が起こっています。
これは潜水反射とか酸素節約反射と呼ばれる反応で、脳への血流を確保するためにの反射であると考えられています。
タンクやシュノーケルなどを使えば、水中でも酸素を取り込んで呼吸をすることが出来ますが、実際には、陸上とは呼吸の仕方がかなり異なってきます。
水中では水圧という力が働きます。
水深10メートルでは陸上の2倍の圧力がかかるので、呼息を行なうためにはこの力に抵抗するように、胸郭を広げなければならず、水圧以外に浮力の影響も考えられます。
水中に入ると、浮力が働き、無重力に近い状態となります。通常、呼息は肺や横隔膜の弾性に加えて胸郭の下降によって起こりますが、浮力によって胸郭の下降に必要な重力の作用が減少し、強制的な呼息が一部必要となり、たとえ水中で呼吸が出来るとしても、陸上に居るときよりは、呼吸のための努力が多く必要になります。
高圧環境での呼吸
圧力により空気の量は変化する
高い気圧の環境では空気は圧縮されます。
それにともない空気に含まれるそれぞれのガス成分の分圧も高くなり、呼吸機能にもいろいろな変化が起こります。
私たちの身近にある高圧環境といえば、水中がそのひとつです。
水の中では水圧がかかります。陸上に居るときの気圧は1気圧(水面、水深0メートル)ですが、水面から10メートル深くなるごとに水圧は1気圧ずつ高くなるので、水深10メートルでは2気圧となり
このとき空気の体積は陸上の半分に圧縮されます。
海やプールで潜水しているときには全身に水圧がかかっています。
呼吸を止めて潜っている場合、胸郭にも水圧がかかるので、胸郭の容積は縮小し、肺の中の空気は逃げ場がないので、圧力が高くなり、一方、タンクなどを利用して水中でも呼吸ができる場合には、肺の中の空気はタンクからのガスの圧力によって、陸上とほぼ同体積にすることができます。
いずれの場合の潜水においても、程度の差はありますが、肺胞ガスの圧力は、陸上に居るときに比べて高くなっていて、これは水深に比例します。
肺胞ガスの圧力が高いことは、肺胞と血液のあいだのガス拡散機能に影響するので、ガス交換は通常より増加していると考えられます。
高圧環境から通常の気圧に戻るとき、すなわちかなり深い位置の潜水から浮上するような場合には、注意が必要です。
何故かと言うと、圧力が相対的に小さくなることにより、肺の中の空気はどんどん膨張してくるので
肺は膨れ上がり、破裂する危険があります。
これを防ぐためには、呼吸を止めないで続けて行い、肺の外と内側の圧力の平衡を保つようにすることが大切です。
潜水障害
潜水症はどんな現象
呼吸ガスに含まれる窒素は、通常、肺から血液中に拡散することはほとんどありませんが、潜水中は、水圧の作用によって肺の中の圧力が高くなるので、体全体の組織で呼吸されていきます。
体内組織で吸収された窒素は、浮上する際に、圧力の減少に伴って体組織から血液に溶け出し、徐々に排出されますが、圧力の減少速度、浮上する速度が速すぎると肺から排出される前に、体組織や血液中で、気泡になって発現してしまいます。
炭酸飲料の栓を急に開けた時の状態と同じ、急激な圧力の低下によって窒素が気泡となって発生して、血流が阻害されたり、神経を圧迫したりして、皮膚のかゆみや関節の痛み、めまい、感覚異常、呼吸困難などの症状が発現します。
重篤な場合は、脳や心臓の血管を詰まらせ、脳障害を起こすこともあります。
このような現象を減圧症といい、潜水症のことです。
減圧症を防ぐためには、窒素が体組織や血液中で気泡化することなく、体外に排出出来るように、浮上速度を調節することが重要です。
一般に浮上する際には、自分の吐き出した空気の1番小さな泡を見ながら浮上すると良いと言われています。
ただし、潜水中に体内に溶け込んでいる窒素の量は、潜水の深さや潜水時間によって異なるので
それに応じて、浮上速度を調節しなければなりません。
万一、減圧症になった場合には、高圧室に入って高圧環境に戻し、窒素の気胞を消してからゆっくりと減圧していく方法が取られます。
