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酸素は脳の生命線

脳と酸素不足

神経細胞は酸素に敏感

脳の神経細胞は酸素の供給に関して敏感で、
ひとたび酸素の供給が断たれると急激にその機能を失い、
酸素供給の再開が遅れるほど、多くの神経細胞(ニューロン)が死に至ります。

神経細胞にとって酸素の供給が重要であることは、
脳の酸素消費量が他の臓器に比べて極めて多いことからも想像できます。

神経細胞は他の細胞と同様、ATPをエネルギーとして神経活動を維持しています。

ATPを最も効率よく生成するしくみは、酸素を多量に利用する代謝反応です。

酸素の供給が途絶えると細胞内のエネルギー生成反応が
急激に低下し、神経細胞の機能が失われます。

たとえば、脳出血や脳血栓などによる脳血流の低下、
あるいは、海・川で溺れたときの呼吸停止などによって
脳内が低酸素状態になると、急激に神経の活動は失われ、
大脳皮質では酸素供給遮断後5~10分で神経細胞死が起こるといわれています。

一般的には脳内の神経細胞は、出生後、再生されないし、分裂もしません。

一度死んでしまった神経細胞は、もとには戻らないで、増えることもありません。

したがって、事故や病気などで脳が重大な酸素不足になった場合には、
たとえ生命が助かっても脳に後遺症が残る可能性があり、植物状態などがその例です。

このように脳は酸素不足に非常に弱く、
これは神経細胞が広い細胞膜を持つため膨大な量のATPを必要とするからです。

酸素が不足するとATPの生成が滞り、細胞内外のイオンバランスが崩れ、
結果、神経活動が維持できなくなり死に至ることになります。

老いと呼吸

年を取ると呼吸はどうなる

日常的な運動を行なう場合には、肺の換気量、ガス交換(ガスの拡散量)、
酸素の摂取量などは、高齢者においても若者とほど同じ程度保たれていますが、
高齢者の肺は若者に比べて全体的に萎縮していて、弾力性も失われています。

また、高齢者では肺全体に占める肺胞の割合も減少しているといわれています。

このような肺の形態的な変化は、肺活動、全肺容量、
1分間当たりの最大量を減少させることになり、
加齢とともに、呼吸運動を司る呼吸筋そのものの機能も衰えてきます。

したがって、日常生活では何ら支障がなくても、
運動がきつくなってくると十分な呼吸の機能が果たせなくなり、
呼吸機能の余力は、年を重ねるとともに低下してきます。

加齢にともなう呼吸の機能の低下は、肺機能だけでなく循環系の老化とも関連してきます。

酸素を全身に運ぶためには、心臓や血管の働きが重要ですが、
これらの働きが悪くなると酸素運搬機能も低下します。

実際、加齢にともない心臓からの血液の拍出量は減少し、
動脈硬化も多く見られるようになり、肺胞を覆う毛細血管も減少します。

このように加齢とともに心臓のポンプ力は低下し、
血管にも老化が見られるので、十分な血液量を全身に送ることが難しくなり、
酸素の運搬能力は、低下していきます。

運動と呼吸の関係

運動を始めると自然に呼吸が増える

運動を始めると呼吸の回数が増え、呼吸の深さも増してきます。

運動時には多くのエネルギーが必要になります。

そのため、エネルギー産生に必要な酸素が供給されなければならず、
また代謝産物の二酸化炭素を排出するために、
呼吸のしくみが活発に活動を始めます。

安静状態から運動を始めると、最初の呼吸から換気量は増加し、
呼吸のリズムも速まり、運動の開始時には一気に換気量が増える反応が起こります。

持久的運動では、その後、徐々に換気量が増加して、
運動開始後4~5分でその増加は止まり、一定の状態で安定する(定常状態)。

このとき、運動を維持するために、
必要な酸素量と、呼吸によって供給されている酸素量のバランスが釣り合っています。

これらの反応は運動が始まると自然に起こる反応で、
運動時に必要なエネルギーを産生するための無意識的な呼吸反応といえます。

運動の開始時には、非常に素早く換気量が増加するので、
神経による情報伝達がこの反応を引き起こしていると考えられます。

運動を行なう場合には、脳の運動中枢から骨格筋に向けて指令が送られますが、
同時に延髄の呼吸中枢にもその情報が伝えたてます。

また、運動開始時の筋の機械的な動きに反応する
センサー(機械的受容器)からも情報が呼吸中枢に送られます。

これらの神経機構によって運動開始時の換気の亢進が引き起こされます。

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