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強烈なポンプ力

心臓の働きと酸素運搬

血流のリズムが重要

肺に入った空気は、薄い肺胞の膜を通して酸素を血液に渡します。

このとき肺胞から血液中への酸素の移動は、受動的に行なわれています。

肺に入ってきた空気には酸素が豊富に含まれており、
一方、全身を回ってきた静脈血中には酸素が少なくなっています。

この肺胞内と静脈内の間の酸素分圧の差によって酸素は受動的に血液中に移動する(拡散)。

同様に、組織や細胞での酸素の移動もこの拡散によって行なわれています。

肺と血液、血液と組織の間の酸素の移動は、
その濃度差による拡散によって移動量にはあまり大きな変化は見られません。

そこで、酸素の運搬量を決定する主要な要素としては、
肺の換気量あるいは血液の循環量の大きさが考えられ、
後者は肺から血液中に取り込まれた後の酸素の運搬量が、
血液の流れによって大きく左右され、
血液がたくさん流れるほど、酸素運搬能力は高くなるといえます。

血液の流れ、血液循環の原動力は心臓で、
ポンプ作用の心臓は安静時には70拍/分前後で拍動します。

1回の拍動で心臓から送り出される血液の量(1回拍出量という)は
50~100ml、1分間でおよそ5リットルの血液が体内を循環しています。

運動などで多くの酸素が必要になった場合には、
心臓の拍動は速くなり、1回の拍出量も増加し、
その結果、1分間につき約40リットルもの血液が体内を循環することもあります。

酸素の運搬と供給のしくみ

ヘモグロビンとの密接な関係

肺胞内の空気から血液中に取り込まれた酸素は、
赤血球内のヘモグロビンと結合したかたちで血液中を運ばれます。

ヘモグロビンは、酸素と容易に結合する性質を持っています。

しかし、簡単に酸素を離してしまう(解離)という性質も同時に持っています。

これは、肺胞では血液中に酸素を取り込むときに、
酸素がヘモグロビンと結合しやすくなっており、
また、末梢組織ではヘモグロビンから酸素を離しやすくなっているということで、
酸素の運搬や供給に都合よく機能しているといえます。

酸素とヘモグロビンの結合と解離はどのように行なわれるのか、
重要なのは、二酸化炭素分圧と酸素分圧の高さがあります。

組織では、二酸化炭素の割合が高くなり、
血液中の酸素とヘモグロビンの結合は弱くなります。

その結果、運ばれてきた酸素は解離し、酸素の供給が促進され、
反対に、酸素が多くなると酸素とヘモグロビンの結合力は強くなります。

ただし、ヘモグロビンと酸素の結合力は酸素分圧と比例関係ではなく、
酸素分圧が多少低下しても酸素とヘモグロビンの結合力は強いままに
保たれていますが、酸素分圧がある一定の値以下になると、
ヘモグロビンと酸素の結合力は急激に低下します。

これは、肺胞から血液中への酸素の取り込みに際しては、
空気中の酸素濃度が多少減少しても、酸素の取り込みは十分に行なわれ、
反対に、酸素分圧の低い組織では酸素が一気にヘモグロビンから解離され、
大量の酸素が供給されることを意味します。

このように酸素とヘモグロビンの関係は、
酸素の運搬や供給にとっても都合のよいしくみになっています。

酸素と脳の関係

脳と呼吸

私たちが生きていくために酸素は不可欠なもので、
呼吸の巧みなしくみによって全身の組織に運ばれます。

体の中で酸素の不足によって真っ先にダメージを受けるのが、脳の神経細胞です。

脳の神経細胞は、覚醒しているとき、
睡眠中でも活動し続けていて、常に酸素が必要な状態にあります。

脳の酸素消費量は、1分間約50mlといわれます。

安静時に体内に取り込んでいる酸素の量は、
240mlほどで、酸素の量の約20%は脳で利用されています。

一般成人のヒトの脳重量が約1.4kg、体重のわずか2%にしかすぎないことを考えると、
脳は非常に贅沢に酸素を消費しています。

これは脳にとって酸素の供給が非常に重要です。

交通事故などで大量出血すると、からだが一時的に低酸素・虚血状態となり、
輸血などの処理で一命を取り止め、
けがも回復できますが、ときに脳への障害が残る場合もあります。

脳への酸素不足が、脳の神経細胞の破壊につながることを示し、
脳にとって酸素不足はまさに命取りです。

脳の神経細胞のエネルギー源は、
もっとも高率よくエネルギーが得られるグリコーゲンのみでありほかの栄養素を用いません。

脳の神経細胞は、グリコーゲンを細胞内に取り込み、
その分解の過程で、多量の酸素を消費し、エネルギーを作り出しています。

このように脳は、良質のエネルギー源と大量の酸素を
使っていることから、非常にぜいたくな食いしん坊です。

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