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さまざまな生物の呼吸

酸素の目的地は細胞

ヒトのように高等な多細胞動物は、
酸素が体内に取り込まれるまでにいくつかの過程が必要です。

空気中から肺を経て酸素を血液中に取り込む外呼吸、
次に心臓、血管などの循環系による酸素の運搬、
そして組織でのガス交換(内呼吸)と、大きく分けて3つの過程があります。

陸上に棲む他の動物は、呼吸のしくみはヒトとよく似ています。

哺乳類(ヒトを含む)は肺を持っており、肺への空気の出入り(換気)は、
横隔膜などの呼吸筋の働きによって行なわれています。

爬虫類には、横隔膜はありませんが、
換気の際にはのどや胸部の運動を使って体内に空気を取り込んでいます。

カエル等の両生類の場合は、横隔膜の変わりに
顔面の頬を風船の様に膨らませ、その弾性を利用して換気ポンプを作っています。

水中に棲む魚類や両生類の幼生(おたまじゃくしなど)は、
空気中の酸素を直接取り込むことはできないので、
水の中に含まれる酸素を取り込むために、あごやのどを使って
水ごと口に取り込み、えらで酸素を血液中に吸収しなが、水を排出します。

魚類にとってはあごやのどの部分が、哺乳類でいう呼吸筋といえます。

一方、アメーバ-のような単細胞生物では、細胞表面が周囲の環境と直接接しているので、
外界からの酸素の取り込みはガス拡散によって直接行なわれています。

このように生き物によって酸素を体内に取り込むしくみはさまざまなですが、
取り込まれた酸素の最終目的地が細胞という点では共通しています。

どの生物の呼吸も酸素を細胞に届けるためにあります。

細胞レベルでの呼吸

細胞はエネルギーを要求している

それぞれの細胞は生きていくために、
さまざまな過程を経て運ばれてきた酸素を取り込み、
同じように代謝により生じた二酸化炭素を排出しています。

生命活動を維持するためには、細胞レベルで呼吸が行なわれています。

細胞が呼吸を行なうのは、細胞が活動するためのエネルギーを産生するためで、
エネルギー産生には酸素が不可欠だからで、細胞内で作られるエネルギーは、
デンプンやブドウ糖などの栄養素が分解されることによって作られ、ふつう、
アデノシン三リン酸(ATP)という化学エネルギーのかたちで蓄えられます。

このATPが必要に応じて分解され、細胞のさまざまな活動に利用されています。

細胞はこのATPの生成に重要な役割を果たします。

ATPは、アデノシンと3分子のリン酸が結合したもので、
結合した際には多量のエネルギーを含みます。

この結合を高エネルギーリン酸結合といいます。

ATPから1分子のリン酸が分解され、アデノシン二リン酸(ADP)と
リン酸になるときに、大きなエネルギーが放出され、そのエネルギーは、
熱エネルギー、機械的エネルギー、電気エネルギー、化学エネルギーなどに変換されて、
体温維持、筋収縮、神経活動、物質の合成・分解、生物のさなざまな
生命維持活動に用いられ、このようなATPはすべての生命活動に利用できるものです。

エネルギー生成における酸素の役割とは

多くの生物は酸素がなくては生きていけません。

生物はこの酸素を利用して栄養素を分解し、細胞のエネルギーのATPを
生成していますが、生物には酸素を使わないでエネルギーを生成する
過程(嫌気性代謝けんきせいたいしゃ)も存在します。

酸素のない状態でもエネルギーを作り出す生物には、酵母(菌)です。

酵母は発酵と呼ばれる代謝過程によって、酸素がなくても糖分を分解し、
二酸化炭素とアルコールを排出して、同じにエネルギーを作り出しています。

酵母は微生物ですが、他の多くの動物や植物の体内でも、
酸素がまったく関与しない状態で影響を分解(代謝)し、
エネルギーを生成する過程があります。

この酸素を使わないでエネルギーを生成する代謝過程を解糖(かいとう)といいます。

発酵の場合には糖分の分解によってアルコールと二酸化炭素が生じますが、
解糖ではピルビン酸と乳酸という代謝物が生じ、この過程でATPが生成され、
このような嫌気性の代謝過程では、酸素は必要としませんが、
変わりにATPは少量しか生成されません。

一方、酸素を利用してエネルギーを産生する場合、糖分などの栄養素はピルビン酸、
乳酸を経て最終的に二酸化炭素と水に分解され、その過程で多量のATPが
生成されることを、好気性代謝(こうきせいたいしゃ)といいます。

重要なのは、酸素を利用する、代謝過程においても、解糖過程、
酸素を利用しない代謝過程を経て、
その際に酸素が豊富に供給されていれば、好気性代謝の過程へと進んでいきます。

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